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回折の家
The House of Diffraction

大分市 2009

○環境と多面的に対話する十字型の「建ち方」

 この住宅は、同規模の敷地が規則正しく連続する郊外の住宅地にある。周囲の殆どの住宅は矩形であり、それぞれが対峙する外部環境も相似形である。ここでは、周囲の景観を壊すことなく、日照・プライバシー・庭・駐車スペースを確保しながらも多面的な環境の価値の獲得と創出を目指すため、十字型の「建ち方」を採用した。
 隣地に接する部分には開口を避け、4隅に異なった特徴を持つ庭を確保し緑を入れている。内部からは周辺環境の広がりを感じることができ、また隣地からも緑を楽しむことができる。
 時間の経過とともにこの4つの庭は境界を越えて変化し、空気・視線などさまざまな「動き」が廻り込む、「回折の家」になるであろう。

○在来構法・土壁・伝統自然素材の活用と地域工務店の活性化

 地元産杉の芯持無垢材による在来真壁構法と、木舞・土壁・漆喰・焼杉といった伝統自然素材を最大活用している。杉材は全て手刻み加工し、また木舞や土壁の施工にあたっても、独自の職能システムを構築するなど地域工務店の活性化も試みている。このような伝統自然素材を最大限活用しながらも、現代的なデザイン嗜好者にも受容されるように木理の細かいモダンデザインを施し、端正で優しい木造空間を創出した。

○新しい家族形態のために

 外部空間のみならず、内部空間においても住み手の自由な「住みこなし」が可能となるよう、2つの立体的に繋がるフリースペース(リビング+セカンドリビング)を設けている。開放的なこの2つの空間は、新しい家族の関係を紡いでいくであろう。

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