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那珂川町移住交流促進センター SUMISTUKE
SUMITSUKE

2017 福岡県那珂川市

移住促進のための情報発信と交流

福岡県那珂川町は都市圏のベッドタウンとして緩やかに人口増加し、2018年には市制移行を予定している。しかし、人口が集中する町北部に対し、山地が大部分の町南部(旧南畑村)では人口減少と高齢化が続いている。「那珂川町移住交流促進センター」は、南畑地域への定住人口の増加を目指した「移住促進事業」の一環として計画された。

里山・里川の織り込み
桜や蛍で知られる中ノ島公園内の老朽化した33㎡の木造休憩小屋を有効活用することから設計は始まった。四周の既存壁を全て撤去し、透明ガラスを設置した。開放された境界を透かして、これまで意識されなかった日吉神社の参道、那珂川の中洲、水田の連なり、風に揺れる緑、背振のやまなみなど、周囲に織物のように広がる里山・里川の様相が織り込まれ、ランドスケープが大きくそして近く感じられるようにしている。

円軒
既存木架構を鉄骨で構造補強しながら、同時に直径13.4mの円軒として拡張している。直線や鋭角を避け方向性のない円形としたのは、結束点・開放点という両義的空間とするためである。外周には那珂川町産スギ材を廻らせ接空している。これは高温多湿の日本の木造建築に数多く見られる「雨除け板」の緩用であり、僅かに自然環境との調和の具合をずらすアトラクターである。開放された円軒の下では、集い、語らいといった自由な利用が可能であり、利用者の空間経験や使用の振幅が広がることを意図している。

デザインプロセスの共有
設計にあたっては、計3回の住民参加型ワークショップを開催した。「地域の魅力の発信」だけでなく「開かれた空間」であること、「地域の自由な利用」が可能なことなどがコンセプトとして導かれた。この小さな公共建築が、移住を希望する人たちへの情報提供だけでなく、地域内外の交流の場として自走することを期待している。

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siteplan

 

plan

 

structural diagram